わし座の神話・伝説 |
ガニュメーデスの誘拐 (レンブラント) わし座は、ギリシア神話にある、ガニメド(ガニュメーデス)をさらった大鷲だと言われています。 この絵では、大鷲に姿を変えた大神・ゼウスが、ガニメドをさらって行く様子が描かれています。 |
ガニメドをさらった大鷲 夏の夜空に大きく見えるわし座は、一等星のアルタイルがあることでよく知られている星座のひとつです。 わし座は、古代バビロニアの時には既に知られていたと言われている古い星座ですが、ギリシャ神話ではガニメドをさらっていった鷲として伝えられています。 ガニメドはガニュメーデスと言いますが、一般にはガニメドと呼ばれています。 大変美しい少年でトロイの国に住んでいましたが、ガニメドはトロイの国の基礎をつくったトロース王の子どもで、どれほど美しい女性にも勝る容姿をもっていました。 栗色の髪の毛に黒い瞳、バラ色の唇をしていたと言われ、女性だけでなく、男性もその美しさの虜になってしまうほどでした。 もちろん、大神・ゼウスもその美しさにとらわれないはずはありません。 ある日、トロイの国を見渡していたゼウスは、美しいガニメドの姿を認め、是非とも自分の側に置いておきたいと思いました。 どんな事でもやってのけることが出来る大神・ゼウスです。 ガニメドの美しさに強く引かれたゼウスは、瞬く間に一羽の大きな鷲に変身して、トロイの国を目指して舞い降りていきました。 ガニメドはヒツジの群れを追っていましたが、突然大きな鷲に襲い掛かられ、ただ驚くばかりです。 逃げる間もなく天空高くさらわれていってしまい、人々もなす術がありません。 やがてオリンポスの山頂に舞い降りた鷲は、ガニメドの前にゼウスの姿を現しました。 そして、驚きと悲しみに包まれているガニメドに、ゼウスはこう告げます。 「お前のような美しい少年がわたしの側にいてくれるなら、わたしは永遠の若さと美しさをお前に与え、人々の憧れとなるように約束しよう」 地上に帰ることもできず、大神・ゼウスの申し入れです。 ガニメドには断れるはずもありません。 仕方なくあきらめたガニメドはオリンポスに留まり、その後はゼウスや神々の側で酒を酌むなどして過ごしたと伝えられています。 ギリシャ神話では、わし座についてこのように伝えられていますが、ガニメドをさらっていった鷲は、ゼウスが変身したものだとも、ゼウスが連れている鷲に命じたとも言われています。 また、わし座になっているモデルは、人に火を与えた罰として岩山につながれた、プロメテウスをついばむ鷲だとも言われています。 ところで、鷲にさらわれたガニメドは、秋の夜空に見えるみずがめ座として輝いていますが、一等星のアルタイルとは、アラビア語で「飛ぶ鷲」という意味ですが、日本では七夕の「彦星」としてよく知られています。 そして、わし座のアルタイルは、こと座のベガ、はくちょう座のデネブと共に「夏の大三角形」と呼ばれていて、これらの星は大きな二等辺三角形を形作っています。 このページの先頭へ |