うしかい座の神話・伝説 |
ディアナ(アルテミス)とカリスト (ティツィアーノ) うしかい座のモデルは、ギリシア神話に登場する狩人・アルカスだと伝えられています。 この絵では、アルテミスと侍女であるカリストが描かれていますが、カリストはアルカスの母にあたります。 |
狩人アルカス うしかい座は春の星座で、南北に長い、大きな星座です。 α星のアークトゥルスは北天でもっとも明るい星で、おとめ座のスピカ、しし座のデネボラと結ぶと大きな正三角形になり、「春の大三角形」と呼ばれています。 うしかい座を見つけるには、アークトゥルスを探し出せば、その姿が見えてきます。 北斗七星の柄の部分を、そのまま曲がり具合に従って伸ばしていくと、オレンジ色の明るい星があります。 これがアークトゥルスで、うしかい座は、これを結び目としたネクタイのような形をしています。 さて、うしかい座についての神話ですが、一説によると、うしかい座のモデルは狩人であるアルカスの姿だと言われています。 アルカスはクマの姿になって、おおぐま座の近くに位置するこぐま座のモデルにもなっているのですが、それについては、おおぐま座の神話、こぐま座の神話で紹介しているので、そちらを参考にしてみてください。 うしかい座になっていると言われているアルカスは、大神・ゼウスと森のニンフ・カリストとの間に誕生した子どもです。 アルカスは訳あってクマの姿に変わってしまいますが、うしかい座は、狩人である時のアルカスの姿だとされています。 うしかい座は、左手に二匹の猟犬(りょうけん座になっています)を連れていて、右手には剣や槍、こん棒などを持っている姿で描かれていますが、これが狩人あった時のアルカスの姿だと言われています。 現在の星座絵では、うしかい座は、おおぐま座とは反対の方向を向いていますが、かつては、おおぐま座に向いて描かれていました。 この姿は、おおぐま座のモデルとなっている母のカリストを追いかけるように描かれていて、実際、うしかい座はおおぐま座を追いかけるように夜空を回っています。 うしかい座の神話はいろいろ伝えられていますが、α星のアークトゥルスは、ラテン語で「熊の番人」というような意味で、狩人らしい感じもします。 また、アルカスは母のカリスト共に熊の姿にもなっているので、やはり、うしかい座はアルカスらしい感じがします。 大地を支えるアトラス ところで、うしかい座になっているのは、天地を支えているアトラスだとも言われています。 ギリシャ神話によると、アトラスは巨人族・タイタンのひとりで、マウリタニアと呼ばれる、北アフリカにあった国を治めていました。 アトラスは聡明な王様で、英知にも長け、国をよく治めていたと言われています。 しかし、大神・ゼウスと、その父であるクロノスとは争っていて、やがて最後の戦いがはじまります。 クロノスはタイタン族を率いてゼウスと対抗しますが、この時、アトラスもタイタン族の一人として戦いに参加します。 アトラスは穏やかな性格で、争いを好まなかったのですが、やむなくゼウスの軍と戦います。 何年にも及ぶ長い戦いの末、ゼウスの軍はクロノス・タイタン軍を打ち負かし、クロノスをはじめ、タイタン族を地下深い奈落の底へと追い落とします。 この時、アトラスも地下深く閉じ込められてしまいます。 そして、ゼウスの命によって、生涯天地を支えなければならない罰を受けることになったのです。 この姿がうしかい座になっているとも伝えられていて、うしかい座の形を違ったように見れば、成る程、アトラスが天地を支えているようにも見えます。 うしかい座になっている人物が誰なのか、はっきりと分かっていないことから、このようなアトラス説も伝えられています。 ところで、天地を支えなければならなくなってしまったアトラスですが、ギリシャ神話の英雄、ヘラクレスが黄金のりんごを探しているとき、ヘラクレスに代わってりんごを手に入れたりしています。 この神話は「りゅう座の神話」などで紹介しているので、参考にしてみてください。 また、アトラスは、ヘルクレスが怪物・メドゥサを退治した後、通りがかったヘルクレスにメドゥサの首を見せてもらい、石となって永劫の苦しみから逃れたとも伝えられています。 そして、アフリカ北部にあるアトラス山脈が、その姿だと言われています。 このページの先頭へ |