オリオン座の神話・伝説 |
![]() オリオン座のモデルは、ギリシャ神話に登場する、優れた狩人・オリオンがモデルになっています。 この絵では、盲目になったオリオンが、森の中をさまよっている様子が描かれています。 |
アルテミスに認められたオリオン オリオン座は、誰もが知っている冬の星座で、星座の中でも、もっとも形の整ったひとつです。 一等星が2個、二等星が5個もある見事な星座で、日本から一等星をふたつも持っている星座を見ることが出来るのは、このオリオン座だけです。 紀元前1400年頃には、既に知られていた古い星座で、古代エジプトでは、死者の神・オシリスの姿だと言われていました。 ギリシャ神話では、オリオンは海神・ポセイドンとアマゾン国の女王・エウレアレとの間に誕生したと語られていますが、オリオン座の神話は、このギリシャ神話に基づいています。 オリオンはポセイドンの血を引いているので、海の上を自由に歩くことができるとも言われていましたが、何よりも、狩りの名人として知られていました。 また、力も強く、日頃から荒っぽい振る舞いも多くありました。 ある時、オリオンはキオスの王・オイノピオンのところに滞在していましたが、このときオイノピオンが気に入っていたメローぺという女性に、強く思いを寄せました。 オリオンは森の中のライオンを素手で倒して、その皮をメローぺに贈ったりしていましたが、オイノピオンはいい気がするはずもありません。 オイノピオンは計略をめぐらせ、ある日オリオンを酒に酔わせて、ぐっすりと眠っているところを部下に襲わせます。 オリオンは焼け火箸で目をつぶされ、そのまま海岸に投げ捨てられてしまいます。 気が付いたオリオンは、自分の目が見えないことに驚きますが、いくら剛勇のオリオンと言えども、こうなってしまっては、何もするができません。 オリオンは深く悲しみ、大神・ゼウスに祈ります。 ゼウスは哀れみから願いを聞きどけ、鍛冶の神・へパイストスの槌音を響かせ、その音を頼りに、オリオンをへパイストスのもとへと導きます。 へパイストスのところにたどり着いたオリオンは、弟子であるケーダリオンに背負われ、暁の女神・エーオスのもとへ連れて行かれます。 ここで、女神のやわらかい朝の光を浴びることができ、オリオンはどうにか視力を取り戻すことができました。 さて、視力を回復することができたオリオンは、力も取り戻し、以前のように再び狩りに出かけていました。 ある日、この姿を認めた女神・アルテミスは、オリオンがすっかり気に入ってしまい、やがてはふたり一緒に狩りをするようにもなりました。 ところで、アルテミスは月の女神と言われていますが、もとは森林と狩猟の神であるほか、純潔の守護神でもありました。 そのこともあって、兄であるアポロンは、アルテミスに言い聞かせます。 しかし、アルテミスの気持ちがいっこうに治まらない様子から、アポロンは一計を案じます。 ある日、オリオンが川を渡っている姿を見つけ、それに日の光を当て、輝く黄金色に光らせます。 そして、「いくらお前ほどの弓の名手でも、あの川を渡っている鹿を射ることはできないだろう」と、アルテミスを挑発します。 アルテミスはもちろんこれに応じて、一矢を放ちます。 狩猟の女神でもあるアルテミスの矢は的を外すことなく、鹿は川の中に倒れて流れていきます。 ところが、川岸に打ち上げられているのは、胸を打ち抜かれているオリオンの姿でした。 この姿を見たアルテミスは驚き、悲しみに叫びますが、もうどうすることもできません。 アポロンはアルテミスを慰め、オリオンとの仲が叶えられないことを諭します。 アルテミスはようやく諦めますが、「せめて、オリオンは立派な姿で、空の中に入れてほしい」と、父であるゼウスに願います。 そして、アルテミスの願いは聞きどけられ、オリオンは星座となって輝きます。 これが、ギリシャ神話で伝えられているオリオン座の物語ですが、オリオンは海の上を歩くことができるとも言われていたので、矢を受けたときは、海の上を歩いていたとも言われていて、神々が送ったサソリを避けて海へ逃げたところ、誤ってアルテミスが矢を放ったとも言われています。 また、オリオンは暁の女神・エーオスに恋をしたため、神々の嫉妬のため、アルテミスの矢によって射殺されたなどとも言われていて、さまざまな伝説が残っていますが、いずれにしても、オリオン座の姿は、右手に棍棒、左手にはライオンの毛皮をもった姿で描かれています。 そして、アルテミス(月)が通りすぎていく黄道の近くに、三ツ星の帯を締めた見事な姿で輝くことになったと伝えられています。 ところで、神話では、オリオンの最期は、さそり座にもなっているサソリに刺されて亡くなったとも言われていますが、これについては、さそり座の神話を参考にしてみてください。 それと、オリオン座の南に見えるうさぎ座は、オリオンが狩をしていた獲物のひとつと言われています。 また、おおいぬ座とこいぬ座は、オリオンが狩りに連れて行っていた猟犬とも言われていますが、別の神話も伝わっているので、それについては「おおいぬ座の神話」を参考にして見てください。 このページの先頭へ |