星座図鑑・ヘルクレス座の神話・伝説

ヘルクレス座の神話・伝説











ヘラクレスの選択 (アンニーバレ・カラッチ)

ヘルクレス座のモデルは、ギリシア神話の英雄・ヘラクレスがモデルになっています。

この絵では、美徳と悪徳を擬人化した二人の女性の間で、迷っているヘラクレスの様子が描かれています。

ギシリャ神話の英雄・ヘラクレス

ヘルクレス座は、全天でも5番目に大きい星座で、夏の夜空を賑わせています。
三等星と四等星から描かれている星座ですが、うしかい座のアークトゥルスと、こと座のベガのちょうど間あたりに位置しているので、案外すぐに見つけることのできる星座です。

台形をふたつ合わせたようになっているのが、ヘルクレス(ヘラクレス)の胴体にあたる部分で、逆さまになって両手を挙げているように描かれています。
紀元前4000年頃には既にあったと言われている古い星座で、北天で最も美しいと言われている球状星団・M13も、ヘルクレス座の中にあります。

さて、ギリシャ神話では英雄ヘルクレスの姿だと言われていますが、ヘルクレスはギリシャ神話の中でしばしば活躍していて、いくつかの星座にも深く関係しています。
また、神話を知らなくても、ヘルクレスの名前だけは知っているという人も多く、とにかく武勇に優れた人物として伝えられています。

神話によると、ヘルクレスは大神・ゼウスとミケーネ王妃のアルクメネーとの間に生まれています。
母であるアルクメネーは、勇士・ペルセウスとアンドロメダの孫にあたっていて、このふたりも星座(ペルセウス座アンドロメダ座)として知られています。

ところで、大神・ゼウスはアルクメネーの夫であるミケーネ王・アンピトリュオンに姿を変え、アルクメネーの元を訪れたと言われています。
これを知ったゼウスの妃・ヘラは、怒りと嫉妬で、「もし男子が生まれた時は、決してそのままにはしておかない」と、固く心に決めたと伝えられていて、このヘラの怒りが、一生ヘルクレスについてまわることになります。

例えば、ヘルクレスが八ヵ月程に成長したとき、ヘラは一匹の毒蛇をヘラクレスの部屋と送り込みます。
しばらくして様子を見てみると、ヘルクレスは毒蛇をもてあそび、ついには真っ二つに引きちぎってしまったと言われています。

しかし、ヘルクレスはケンタウルスの賢者キロン(ケーロン)などについて、医術や科学、武術などを修め、立派な青年として成長します。
やがて、ヘルクレスはミケーネと同盟していたテーバイの敵であるオルコメノスの軍と戦い、この戦いで目覚しい戦功をあげ、テーバイ王の娘・メガラと結婚します。

しかし、いつまでもヘラの怒りが消えることはありません。
ヘラは狂気の神・リュッサを使い、ヘルクレスを突如として狂人へと変えてしまいます。
狂気にとりつかれたヘルクレスは、あろうことかメガラと我が子を火の中に投げ込んでしまいます。

正気に戻ったヘルクレスは、驚き、悲しみ、自分の罪であると深く悔いります。
ヘルクレスはメガラの兄であるエウリュステスの元を訪れ、償いのため、どの様な苦難でも受けることを誓います。
そして、この時エウリュステスが課した苦難の行が、後の12の冒険となって、ギシリャ神話に伝えられることになります。

この12の冒険とは

 ・レルネアの谷のヒドラ退治
 ・ネメアの森に棲むしし退治
 ・ケリュネイアの鹿を生け捕りにすること
 ・エリュマントスのイノシシを生け捕りにすること
 ・アウゲイアス王の馬屋掃除
 ・スチュンパロスの怪鳥退治
 ・ポセイドンの牛を生け捕りにすること
 ・トラキア王・ディオメデスの馬を生け捕りにすること
 ・アマゾンの女王・ヒッポリテの玉帯とり
 ・ケーリュオネスの赤牛の生け捕り
 ・ヘスペリデスの森の黄金のリンゴとり
 ・冥界の番犬・ケルベロスの生け捕り

で、どれも決して成し遂げられないようなものばかりでした。

ここでそれらの冒険について紹介することは到底できませんが、ヘルクレスは10年の間に全てを成し遂げ、この他にも多くの冒険や活躍をします。
途中には女神・ヘラの企みなどもあって、幾たびも困難に陥ってしまいますが、どうにかこれをやり遂げ、冒険の後に、カリュドン王・オイネウスの娘であるディアネラを妻として迎えることができます。

けれども、やはりヘラの怒りは終わることなく、やがてヘルクレスはネスソスの毒の衣によって命を落とすことになってしまいます、
この毒の衣というのは、ケンタウルスのネスソスの毒の血が染み込んでいるもので、ある日、ディアネラが川を渡ろうとした時、ネスソスが肩をかすのを装い、ディアネラに近づきます。
これを遠くで見ていたヘルクレスは、ヒドラの血を塗っている矢で、ネスソスを射抜きます。
このとき、ネスソスの毒の血が染み込んだ衣が、「ネスソスの毒の衣」です。

ネスソスは、死ぬ間際に「この衣は浮気封じの力がある」といって、ディアネラをそそのかします。

その後、ヘルクレスがオイカリアのイオレーという王女に心を動かしたことを知ったディアネラは、この衣をひそかにヘルクレスに着せてしまいます。
もちろん、この衣は「浮気封じ」などの力はなく、毒のしみこんだ衣は、ヘルクレスの体から取れなくなってしまいます。

やがて、ヘルクレスの体には毒がまわり、苦しみの末、死期が訪れたことを悟ります。
ヘルクレスはオイタ山と呼ばれる山の頂に薪を積み上げ、火を放って、自らその中に入って命を絶ったと伝えられています。

ディアネラも自分の過ちを知り、後を追って亡くなったとも言われていますが、大神・ゼウスはヘルクレスの死を惜しみ、夜空にあげて星座にしたのだと伝えられています。
しかし、妃・ヘラの嫉妬はなお治まらず、ヘラの怒りから、ヘルクレス座は逆さまになって描かれているだとも言われています。

さて、以上がギリシャ神話に語られているヘルクレスの生涯ですが、ヘルクレスの遂げた12の冒険の中でも、いくつかは星座になっているものもあります。
それらは、しし座の神話うみへび座の神話かに座の神話りゅう座の神話などで紹介しているので、そちらの方も参考にしてみてください。

それと、ヘルクレスは、ふつう「ヘラクレス」として親しまれていますが、星座名は「ヘルクレス座」になっているので、間違わないようにしてくださいね。


このページの先頭へ