しし座の神話・伝説 |
ネメアのライオン・部分 (レンブラント) しし座のモデルは、ギリシア神話に伝わる、ヘラクレスに退治された、ネメアの森の人食いライオンだと言われています。 この絵では、ヘラクレスがライオンの首を絞め、戦っている様子が描かれています。 |
ネメアの森の人食いライオン しし座は、形がはっきりとしていて、春の星座の中でも見つけやすい星座です。 しし座には一等星のレグルスがありますが、この星は、三個しかない春の一等星の中のひとつなので、この星を見つければ、しし座の形を簡単にとらえることができます。 また、しし座は、紀元前600年頃にはつくられていた言われている古い星座で、黄道12星座のひとつにもなっています。 さて、ヘルクレス(ヘラクレス)は数々の冒険を成し遂げたギリシャ神話の英雄ですが、しし座の神話は、このヘルクレスの冒険物語の中に登場する、ネメアの森に棲む獅子退治です。 ネメアの森には、いつの頃から人食いライオン(しし)が棲みつくようになっていて、度々村人たちや旅人などを襲っていました。 このライオンを退治しようと、何人もの勇者たちが出かけていきましたが、誰一人として帰ってくるものはいませんでした。 困った村人たちは大神・ゼウスに祈り、ヘルクレスはゼウスから獅子退治を命じられます。 早速、ヘルクレスはネメアの森へと向かいましたが、持っている武器は、森の中で一本の樫の木からつくった棍棒だけです。 歩いていくと、森の一番深いところに、ある大きな岩穴に行き着きます。 ここが人食いライオンの棲みかで、ヘルクレスが近づいてきたことに気づいて、のそりと岩穴から出てきます。 その顔は恐ろしいもので、口からは血が滴り落ち、顔は真っ赤に染まっていました。 ヘルクレスは後れを取ることなく、持っていた棍棒で、ライオンの頭を骨も砕けんばかりに殴りつけます。 しかし、ライオンの様子は変わることもなく、打ち下ろした棍棒は真っ二つに割れてしまっています。 ライオンは牙をむいて襲いかかり、前足でヘルクレスを地面に押さえつけてしまいます。 こうなれば、ヘルクレスは素手で戦うしかありません、鋭い爪での攻撃をかわしながら、ヘルクレスはどうにかライオンの首をつかまえます。 いくら暴れても、ヘルクレスは決してライオンの首を離しません。 こうして、人食いライオンは退治されてしまうのですが、ヘルクレスは、三日三晩の間、ライオンの首を絞め続けたとも言われています。 ギリシャ神話では、ヘルクレスはその後も数々の冒険と活躍をするのですが、この獅子退治のライオンが、空にあがって、しし座となり、春の夜空を飾っています。 ところで、ヘルクレスの姿は、毛皮を身に着けているところがよく描かれていますが、この毛皮は、この獅子退治したときのものだと言われています。 しかし、ヘルクレスはこれよりも前に、キタイロンの山に棲む獅子も退治していて、その毛皮を身に着けていたとも伝えられているので、どちらの毛皮なのかはよく分かりません。 また、ヘルクレスは、この獅子退治のほかにも様々な冒険をしていますが、それについては「ヘルクレス座の神話」で紹介しているので、そちらの方も参考にしてみてください。 あと、しし座の近く、北斗七星との間にこじし座がありますが、こじし座は1690年、へベリウスによってつくられた星座で、神話などは伝わっていません。 このページの先頭へ |