うみへび座の神話・伝説 |
ヘルクレスとレルネアのヒドラ (ギュスターヴ・モロー) うみへび座のモデルは、ギリシア神話の勇者・ヘルクレス(ヘラクレス)の冒険物語に登場する怪物・ヒドラがモデルになっています。 この絵は、九つの首を持つヒドラと、棍棒と弓矢をもって向かい合うヘルクレスの姿が描かれています。 |
ヘルクレス(ヘラクレス)に退治されたヒドラ うみへざ座は春の星座ですが、星座の中ではもっとも大きい星座です。 頭にあたる部分は、かに座の下の方に位置していて、そこからしし座、おとめ座をの下を通って、てんびん座の手前まで続いています。 二等星のアルファルド(コル・ヒドラ、コレ・ヒドレなどとも呼びます)のほかは、3〜5等星ばかりなので、あまり目立つ星座ではありません。 しかし、頭のところは小さな五角形に星が集まっているので、これさえ見つければ、あとは星座図などを見ながら探し出すことがでると思います。 さて、うみへび座の神話は、ギリシャ神話にあるヘルクレスの冒険物語(ヘルクレス座の神話)で伝えられています。 ヘラクレスは12の苦難を果たしていきますが、その2番目の冒険が、レルネアの谷に棲む、怪物ヒドラの退治です。 神話によると、ヒドラはレルネアにある泉・アミモーネに棲んでいて、頭が九つ、口からは毒を流すという大変な怪物です。 泉には毒が流れ、人々も随分と困っていました。 このヒドラを退治するため、ヘルクレスは甥になるイオラモスと一緒に泉にやってきます。 泉に着くと、九つの頭を持ち上げて、すぐにヒドラが現れました。 口から毒を吐きかけ、盛んにヘルクレスに襲いかかります。 ヘルクレスはこれをものともせず、剣で九つの頭を次から次へと切り落としていきます。 しかし、驚いたことに、切られたのところには、たちまち新しい首が生えてきます。 その上、ひとつの首を切り落とすと、生えてくる首はふたつになって、九つの頭を切り落とすと、なんと18の首が生えてくる有様です。 切っても切ってもきりがなく、これにはヘルクレスも困ってしまいます。 その間には、泉に棲んでいるもうひとつの怪物、化けガニも現れ、ヘルクレスの足を大きなハサミで挟んで邪魔をします。 この化けガニはすぐに踏み潰されてしまいますが、どういう訳か星座になっていて、うみへび座の近くに、かに座となって輝いています。 さて、困っているヘルクレスに、一緒について来たイオラモスが知恵を出します。 「ヒドラは泉に棲んでいるのだから、きっと火に弱いに違いない」 早速、ヘルクレスは矢に火をつけて、ヒドラ目がけて射放ちます。 ヒドラが退いている間に、イオラモスは松明をつくって火をつけます。 ヒドラは再び襲ってきますが、ヘルクレスは首を切り落としたあとに松明を押し付け、切り口を焼いてしまいます。 落とされた首は、再び生えてくることがありません。 最後に残った首だけは不死身のままでしたが、ヘルクレスは山のような大きな岩を投げつけ、どうにかヒドラを岩の下に閉じ込めることができました。 ヘルクレスの活躍はその後も続きますが、ギリシャ神話に出てくるこのヒドラが、うみへび座になったと伝えられています、 ところで、神話とは別に、「ヒドラ」の名前は、淡水にいるクラゲの一種に付けられています。 この生物は、体を細かく切り刻んでも、再びひとつの生物として生活できるようになっています。 神話に出てくるヒドラとは違って、大きさは1cm程度の小さな生き物ですが、実にうまい名前をつけたと思います。 このページの先頭へ |