星座図鑑・へびつかい座の神話

へびつかい座の神話・伝説

アスクレピオスへの奉納
(ピエール=ナルシス・ゲラン)


へびつかい座のモデルは、ギリシア神話に伝わる、医術の神・エスクラピウスがモデルだと言われています。

この絵では、病気の父親の回復を願い、息子たちが足元に置かれている奉納品をアスクレピオスの像に捧げようとしているところが描かれています。

医術の神エスクラピウス・(アスクレピオス)

へびつかい座は、将棋の駒のような形をしている夏の星座です。
かなり大きな星座ですが、夏の代表的な星座であるさそり座の北に、大きな五角形があります。
これがへびつかい座で、さそり座に比べても、ずっと大きい星座です。

へびつかい座になっているのは、ギリシャ神話に登場する、医術の神・エスクラピウス(アスクレピオス)で、この人物は、太陽の神・アポロンとラリッサ王の娘・コロニスとの間に誕生しました。

さて、へびつかい座にまつわる神話ですが、エスクラピウスは幼い頃から英知に長けていたと言われています。
ケンタウルスの中でも一番の賢者と言われているキロン(ケイローン)の元で医術を学び、たちまちの内に、ギリシャ一番の名医となります。

病気や怪我を負った人たちはエスクラピウスのもとを訪れ、エスクラピウスもまた、これらの病気をよく治していました。
エスクラピウスは更に医術を極め、ついには、死んだ人をも生き返らすまでの名医になります。

これには人々も驚きますが、喜ばないはずもありません。
しかし、冥土の王・プルトーン(ハデス)だけは困ってしまいます。
何しろ、自分の国に人がやってこなければ、冥土の国は衰えるばかりです。

プルトーンは、大神・ゼウスにこの事を訴えます。
生まれては死ぬことが定めとなっている人間を、いくら名医といっても、再び生き返らせるというのは許されるものではない。
ゼウスも、これでは人間が増えすぎてしまうので、プルトーンの訴えを受け入れてやります。

エスクラピウスの上には一光の稲妻が落ち、人々には惜しまれながら、天に昇って行ったということです。

このような物語が、ギリシャ神話に伝わっていますが、エスクラピウスが、なぜ大きな蛇をもって、へびつかい座になっているのかは、よく伝わっていません。
脱皮するへびが不死の象徴であるとか、蛇の毒をも良薬して使うことができただとか、いろいろな説明がなされています。

また、へびつかい座の左右には、へび座がありますが、古代バビロニアの時代には、これらはひとつの星座になっていましたが、後に、プトレマイオスがふたつの星座に分割したと伝わっています。

あと、エスクラピウスに医術を教えたキロンは、いて座のモデルになっているので、いて座の神話についても参考にしてみてください。
それと、アポロンとコロニスについての物語は、カラス座の神話で紹介しているので、そちらの方ものぞいてみてくださいね。

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