エリダヌス座の神話・伝説 |
パエトンの墜落 (ルーベンス) エリダヌス座のモデルになっているのは、ギリシア神話で伝えられる、太陽神・アポロンの息子・パエトンが落ちた川だと言われています。 この絵では、日輪の馬車と共に、天から落ちるパエトンの姿が描かれています。 |
天を駆けたパエトン エリダヌス座は、オリオン座にある一等星・リゲルのすぐ近くからはじまっている冬の星座で、全天では六番目に大きい星座です。 明るく目立つような星はありませんが、一度形をとらえてしまえば、次からは簡単に形をつかめる星座です。 エリダヌス座は大きく曲がりくねった形をしている星座ですが、エリダヌスとは川の名前で、そのために曲がった形をしています。 さて、エリダヌス座にまつわる神話は、ギリシャ神話のパエトン(フェアトン)の物語に基づいています。 パエトンは、太陽の神・アポロンの息子ですが、父であるアポロンは、毎日四頭立ての馬車に乗って天を駆け巡っています。 東の空から朝日となってさっそうと走り出し、夕方には、西の空へと駆けていきます。 一方、パエトンは、父が駆る日輪の馬車を眺めては、いつも憧れていました。 見ているだけではとうとう我慢ができなくなり、パエトンは、父アポロンに頼みました。 「一度でいいから、ぼくにも馬車を駆らせてください」 この願いを聞いたアポロンは、とても困ってしまいます。 息子の願いは叶えてやりたいのですが、パエトンの力では、とても四頭の馬を御することなどできません。 どうにか宥めるアポロンですが、パエトンは何度も懇願します。 仕方なく、アポロンは一度だけ手綱を持つことを許してやることにしました。 但し、絶対に手綱を放さないこと。 そして、絶対に日輪の道を踏み外さないこと。 このふたつを条件に、アポロンは馬車に乗る許しを与えます。 さあ、パエトンは大喜びです。 さっそく馬車に乗って、手綱をもちます。 四頭の馬に、ビシリと鞭をひと打ち。 馬車はいきなり飛び出し、すごい速さで駆けていきます。 驚いたパエトンは手綱を引きますが、アポロンとは違って、馬たちはパエトンのいうことなどは聞きません。 馬たちが首を振ると、手綱はパエトンの手を離れ、飛んでいってしまいます。 こうなれば、もうどうすることもできません。 パエトンは馬車に乗っているだけで、馬たちは好きなところへ駆けていきます。 アポロンから言われた道からは外れ、馬車は天のあちこちへと勝手に走り回ります。 その上、この馬車はアポロンが駆る日輪の馬車です。 馬車が走っていくところには火がついて、天のあちこちでは大騒ぎです。 大熊(おおぐま座)や小熊(こぐま座)も火傷をして、星座も動き出してしまう次第です。 地上でも、野や森は火事になり、アフリカの山や草原にも火がついて、広大な砂漠になってしまいます。 これには、天上の神々も大騒ぎです。 しかし、こればかりはアポロンにもどうすることもできず、大神・ゼウスに、どうにかして欲しいと願い入れます。 天の騒ぎを見ていたゼウスは、パエトンの乗る馬車に向かって、一光の稲妻を放ちます。 見事、稲妻は馬車に当たり、馬車はまっ逆さまに北イタリアを流れるエリダヌス川に落ちていきます。 こうして天の騒ぎは治まりましたが、哀れにも馬車と一緒に落ちていったパエトンは、エリダヌス川と一緒に天に昇っていったと伝えられています。 そして、このエリダヌス川が星座になっているのですが、エリダヌス川は北イタリアのポー川とも、ナイル川だとも言われています。 このページの先頭へ |