天の川の神話・伝説 |
天の川の起源 (ティントレット) 星座にはさまざまな神話が伝わっていますが、夜空を流れる天の川にも、神話や伝説が伝わっています。 この絵は、女神・ヘラから流れ出た乳が天の川になっているという神話から描かれています。 |
女神・ヘラの乳の道 天の川は一年を通して見えますが、夏の夜には、格別はっきりと美しく眺めることができます。 「織姫星」、「彦星(牽牛)」としてよく知られている、こと座のベガと、わし座のアルタイルは、はくちょう座のデネブと一緒に「夏の大三角形」をつくっていて、天の川の中に描かれています。 さて、天の川についての神話は各地で見られますが、ギリシャ神話では、女神・ヘラの乳が流れたあとだと伝えられています。 天の川のことを「ギャラクシー」というのは、ギリシャ語で「乳の道」という意味で、英名の「ミルキーウェイ」も、これと同じことから付けられています。 ヘラはオリンポスの十二神のひとりで、女性と母性のシンボルと言われています。 このヘラが、赤ん坊に乳を飲ませていたとき、いきおいあまって天空にそそがれ、その後が天の川になったのだそうです。 絵画の題材などでも、上の絵のように、ヘラが赤ちゃんに乳を飲ませているものが取り上げられていますが、この赤ん坊は、ゼウスとの間に生まれた軍神・アレス、鍛冶の神・へパイストス、お産の女神・エイレイテュイア、或いは、若さの女神・フェーべなどと言われています。 また、一説では、ヘラが乳を与えたのは、ヘラクレスだったも言われています。 ヘラクレスは、大神・ゼウスとアルクメネの間に生まれましたが、嫉妬深いヘラは、ヘラクレスを強く憎んでいたため、乳を飲ませようとはしませんでした。 そこで、ゼウスはヘラに眠り薬を飲ませ、ヘラが眠っているあいだにヘラクレスに乳を飲ませようとします。 しかし、この時ヘラが目覚め、驚いたあまりヘラクレスを払いのけたのですが、ヘラの乳はそのまま流れ続け、天の川になったとも言われています。 このほか、各地で天の川についての伝説が残っているようで、中国では、漢の武帝の頃、ひとりの武将が武帝に呼ばれ、天の川の源を探してくるように言いつけられます。 武将は何ヶ月もかけて天の川の源にたどり着いたと伝えられていますが、当時、天の川は、長江の支流、漢江と続いているとか、漢江の精霊が天に昇っているのだとか言われていたようです。 日本でも、七夕伝説などに表われるように、天の川は洋の東西を問わず、古くから様々な物語に登場しているようです。 このページの先頭へ |