いるか座の神話・伝説 |
![]() いるか座のモデルは、ギリシャ神話に登場する、アリオンを助けたイルカだと言われています。 この絵では、酒神・バッカス(ディオニオス)の誕生したところが描かれていますが、いるか座のモデルになっているイルカは、ディオニオスを誘拐しようとした船乗りたちの姿だとも伝えられています。 |
アリオンを助けたイルカ いるか座は、紀元前1200年頃にはつくられていたと言われている古い星座で、夏の夜空に輝いています。 わし座にあるアルタイルの北東に見られる小さな星座で、四個の星が菱型を作っているのが目印です。 いるか座は四等星と五等星からできていますが、案外見つけやすい星座です。 さて、ギリシャ神話に登場するアリオンは竪琴の名手として知られていますが、いるか座の神話は、このアリオンの物語と関係しています。 アリオンはコリントスの王・ペリアンドロスに使えていた音楽師で、名高いオルフェウスと並んで、竪琴の名手でした。 その奏でる音色は素晴らしいもので、アリオンが弾く竪琴は、誰をも魅了していました。 ある日、アリオンはシチリアで開かれた音楽祭に出場します。 もちろん、彼に並ぶものほどの者がいるはずもありません。 アリオンは見事に優勝を果たし、多くの賞金と数々の賞品、そして高い名声を手に入れます。 やがて祝いの饗宴も終わり、コリントスへ戻るため、アリオンは一隻の船に乗り込みます。 さて、船は港を出て、帆を上げて沖へと向かいます。 ところが、沖に出たとたん、船乗りたちはアリオンに剣を向け、「金を出して、死んでもらおう」と脅します。 武術の心得もないアリオンは、観念するしかありません。 いさぎよく海に身を投じることを決心しましたが、最期の望みとして、ただ一曲だけでいいから竪琴を弾きたいと申し出ます。 海賊と化した船乗りたちは、仕方なくこの願いを聞き入れます。 アリオンは竪琴を手にとって舳先へと向かい、これまでになく心を込めた、見事な曲を演奏します。 すると、アリオンの奏でる調べを聴きつけて、たくさんのイルカ達が集まってくるではありませんか。 イルカたちは演奏が終わるまで、ただじっと聞き入っています。 しかし、やがては曲も終わり、アリオンはいさぎよく海に身を投げ入れます。 そのとき、集まっていたイルカたちはアリオンを救い上げ、背中に乗せて泳ぎだしました。 イルカたちはアリオンをコリントスの港まで運び、アリオンは、無事ペリアンドロスのところに戻ることができたと伝えられています。 神話にはそのような物語がありますが、この様子を眺めていた神々が、イルカたちの行いを認め、夜空に上げて、いるか座にしたと言われています。 一方、アリオンを襲った船乗りたちは、後になってコリントスの港について、いずれも捕らえられてしまいます。 また、いるか座になっているイルカたちは、酒神・ディオニオス(バッカス)を誘拐しようとした船乗りたちの姿で、その罪を償うためにアリオンを救ったのだと言われています。 それについては「コップ座の神話」で紹介しているので、そちらの方も参考にしてみてください。 また、アリオンはオルフェウスと並ぶ竪琴の名手ですが、オルフェウスは「こと座の神話」に関わる人物なので、そちらの方ものぞいてみてください。 このページの先頭へ |