星座図鑑・や座の神話

や座の神話・伝説


キューピッドとプシュケ (ヴァン・ダイク)

や座になっているは、エロス(キューピッド)が放つ愛の矢がモデルだと言われています。

この絵では、エロスがまさにプシュケ(魂の擬人化)に触れようとしているところを描いています。

エロスの矢

や座は、わし座の隣にある小さな夏の星座ですが、紀元前1200年頃にはつくられていたと言われる、古い星座です。
全天88の星座の中でも、三番目に小さい星座で、四等星と五等星からできています。
暗くて少し分かりにくい星座ですが、や座は、わし座のアルタイルを頼りに探し出すことができます。

ところで、や座についての神話ですが、ギリシャ神話では、この矢は愛の神・エロス(キューピッド)が放つ矢だと言われています。

エロスは、愛の女神・アフロディア(ビーナス)の子どもで、この矢を受けたものは、たちまち恋に落ちてしまうという、愛の矢です。

このエロスの矢について、よく語られるのは、イアソンのアルゴ遠征隊の物語での出来事です。
この遠征隊は、コルキスの国の宝である、黄金の毛をもつヒツジを手に入れるためのものですが、このヒツジはおひつじ座のモデルになっているヒツジなので、おひつじ座の神話についても参考にしてみてください。

さて、イアソンがコルキスの国にたどり着き、アイアーテスの城に乗り込もうとするときです。
影ながらイアソンを援助していた三人の女神、ヘラ、アテナ、アフロディアは、どうにかイアソンを手伝ってやろうと考えます。

ヘラは、夫である大神・ゼウスの力を借りてアイアーテスを倒してしまおうと言い、知恵と戦いの女神であるアテナは、イアソンを助け、戦争で負かしてしまおうと言います。
しかし、アフロディアは、アイアーテスの娘・メディアを味方につけることを考えます。

イアソンがアイアーテスに面会を求めに来たとき、柱の影からその姿を認めたメディアは、その勇姿に思わず胸が高まります。
この時、アフロディアから言われたエロスは、メディアに向けて愛の矢を放ちます。
たちまちメディアはイアソンを恋いこがれるようになり、ついには、兄であるアプシュルトスを謀殺し、黄金の毛をもつヒツジをイアソンに渡します。

目的を達したイアソンはギリシャに帰っていくことができたのですが、そのきっかけを作ったのも、エロスが放った矢にほかなりません。

このエロスの放つ矢が、星座となって夏の夜空に輝いているのですが、神話では、メディアはその後、イアソンと共にギリシャに渡って行くのですが、王位を握っているペリアスの一家を殺したり、イアソンが後にコリントス王クレオンの娘グラウケーに思いを寄せたことを恨んで、クレオンを毒殺したりしてしまいます。

メディアは、ついには行方が分からなくなったと伝えられていますが、メディアが毒を盛るのに使った杯が、コップ座のモデルだとも言われています。
また、イアソンは少年の時には、ケンタウルスの賢者であるキロン(ケーロン)の元で、様々な学問を学んだとも伝えられています。
このキロンは、いて座のモデルにもなっているので、その内容については、いて座の神話を参考にして見てください。

また、違う説によると、や座のモデルになっているのは、ギリシア神話の英雄・ヘルクレス(ヘルクレス座)が、縛られたプロメテウスが鷲についばまれているのを見て、鷲に向かって放った矢だとも言われています。

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