星座図鑑・おとめ座の神話

おとめ座の神話・伝説


ペルセフォネの略奪・部分 (レンブラント)

おとめ座のモデルは、ギリシア神話に登場する農業の女神・デーメーテルとも、その娘であるペルセフォネとも言われています。

このレンブラントの絵では、ペルセフォネが冥界へとさらわれてしまうところが描かれています。

農業の女神・デーメーテルとペルセフォネ

春の夜空に輝くおとめ座は、黄道と天の赤道が交わるところに位置していて、全天でも2番目に大きい星座です。
黄道十二星座にもなっいて、紀元前3200年頃には知られていたと言われている、もっとも古い星座のひとつです。

北斗七星のひしゃくの柄の部分を、その曲がり具合に沿って伸ばしていくと、うしかい座のアークトゥルスを通って、青白く輝く明るい星があります。
これが、おとめ座のα星スピカで、これを目印にして、あとは星座図などを参考にして形をたどることができます。

ところで、おとめ座になっているモデルは、一般に、正義の女神・アストレアや、ローマの収穫の女神・ケレスなどと言われています。
しかし、別の説では、農業の女神・デーメーテル(デーメーテール)や、その娘であるペルセフォネ(ペルセポネー、コレーとも呼ばれます)だとも言われています。

デーメーテルは、ギリシャ神話の中でオリンポスの十二神の中に挙げられている農業の神で、ペルセフォネは大神・ゼウスとの間の娘です。

さて、神話は冥界の王であるプルトーン(ハデス)が、ペルフォセネを妻にしたいと思ったことからはじまります。
しかし、母であるデーメーテルは、娘を冥界などにはやりたくない思いです。
そこで、デーメーテルはペルセフォネをシチリアへ隠し、ニンフたちにも娘たちを守るように言いつけます。

怒ったのはプルトーンです。
ある日、ペルセフォネがニンフたちと一緒に野で遊んでいるとき、突然大地がふたつに割れ、ペルセフォネは地下深くへと落ち込んでしまいます。
これはもちろんプルトーンが起こしたことで、ペルセフォネは冥界へとさらわれてしまいます。

これを聞いたデーメーテルはひどく悲しみ、ただ嘆くばかりです。
農業の女神であるデーメーテルの悲しみに、地上では草木が枯れ、作物はひとつとして採れません。
やがて人々は飢え、死ぬ人たちも出てきました。

この様子を天上で見ていたゼウスは、プルトーンにその惨状を告げ、ペルセフォネをデーメーテルの元へ帰すように説得します。
ペルセフォネは再び地上に戻ることができ、母との再会を喜ぶのですが、この時、プルトーンはある計略を実行していました。

プルトーンは、ペルセフォネが地上に戻る前に、冥界のザクロの実を食べさせたのです。
このザクロは、食べると二度と地上の人間のようには戻れないというザクロです。

再会を喜び合ったふたりですが、ペルセフォネはいつまでも地上にいることはできません。
一年の三分の二は地上で暮らすことができますが、後の三分の一は冥界に戻らなければなりません。
ペルセフォネは、仕方なく冥界へ戻っていきますが、娘のいないこの時期には、農業の女神・デーメーテルは悲しみ、地上では作物がとれることがありません。

このような物語りがギリシャ神話で伝えられていますが、四季ができたのも、この時からだと言われています。
春になると母と娘は再会を喜び、野には花が咲きはじめますが、ペルセフォネが一年の内の三分の一を冥界で過ごさなければならない季節(冬)には、草木は枯れ、穀物が実ることはありません。
そして、おとめ座はこの時期には夜空に上らず、大地は凍てつくのだと伝えられています。

このギリシャ神話から、おとめ座の姿は、デーメーテルともペルセフォネだとも言われています。
いずれにしても、おとめ座の姿は左手に麦の穂を持って描かれていて、農業や作物などに関する神話が元になっていると言われています。

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