星座図鑑・おおぐま座の神話

おおぐま座の神話・伝説


ユピテル(ゼウス)とカリスト (フランソワ・ブーシェ)

おおぐま座のモデルは、ギリシア神話に登場する女神・アルテミスの侍女・カリストがモデルになっています。

この絵では、ゼウスがアルテミスに姿を変えて、カリストに近づこうとしているところが描かれています。

クマの姿になったカリスト

おおぐま座は、春の夜空を飾る星座として親しまれていますが、全天に88ある星座の中でも、三番目に大きい星座です。
北斗七星は「ひしゃく星」としてもよく知られている星座ですが、北斗七星は、おおぐま座の腰から尻尾にかけての部分になっています。
北斗七星だけでも大きいので、おおぐま座はかなり大きい星座です。

しかし、おおぐま座の姿をとらえるのは、それ程難しくありません。
北斗七星をたどっていけば、案外簡単に姿をとらえることができます。
また、ひしゃくの柄の端からふたつ目の星はミザールで、これもよく目につく星です。
北斗七星は、七つの星の内、ひとつが3等星で、残りはすべて2等星なので、北斗七星自体も簡単に見つけることができると思います。

さて、北斗七星は北の夜空にほとんど一年中見えているので、こちらの方ばかりに目がいってしまいがちですが、おおぐま座は紀元前1200年頃には既に知られていた古い星座です。
それだけに、おおぐま座にはいくつかの神話や伝説が伝わっています。
その中のギリシア神話によると、森のニンフ・カリストが姿を変えたものだと伝えられています。

カリストは月の女神・アルテミス(ダイアナ)に仕えていた、大変美しい女性でした。
その美しさに心を引かれた大神・ゼウスはカリストを愛し、ある日、アルテミスの姿になってカリストへ近づきます。

やがて、カリストはゼウスの子どもを授かりますが、これを知ったアルテミスはカリストを追放してしまいます。
しかし、ゼウスの妻であるヘラの怒りは更に深く、とても治まるものでありませんでした。
ヘラの怒りはカリストに向けられ、呪いをかけた魔法によって、美しいカリストを一頭のクマの姿に変えてしまいます。

カリストは驚きと悲しみばかりですが、どうすることもできません。
その姿を恥じたかリストは、ひとり深い森の中へと身を隠してしまいます。

一方、残された子どもは親切な人に拾われて、すくすくと育っていきます。
名前をアルカスと言い、20年の後、立派な青年に成長します。

アルカスは腕のよい狩人として、毎日森の中で獲物を追っていました。
ある日、アルカスは一頭の大きなクマに出会います。
稀に見る大きなクマで、アルカスを見つけたオオグマは、大きく手を開いて、叫び声をあげています。

アルカスは、すかさずオオグマ目掛けて矢をつがえます。
しかし、このオオグマこそが、姿が変わってしまったカリストだったのです。

カリストは立派に成長したアルカスだとすぐに分かり、喜びの声をあげて、両手で抱きつこうとしているのです。
けれども、アルカスにはこの事がまったく分かりません。
ただ、恐ろしいクマが叫び声をあげ、襲いかかって来るようにしか見えません。

あわや、アルカスが矢を放とうとするとき、激しい竜巻が起こります。
すると、たちまちアルカスの姿もクマに変わり、母子のクマは共々、天空へと舞い上げられてしまいます。

この竜巻はゼウスが起こしたもので、天上からこの様子を見ていたゼウスが、母親に矢を放つことを見るに忍びなく起こしたものだったのです。
こうして、ふたりはおおぐま座とこぐま座になって、夜空にその姿を輝かせているのだと伝えられています。

しかし、一説では、天に上げられたアルカスは、うしかい座になっているのだとも言われています。
現在の星座絵では、うしかい座はおおぐま座とは反対の方向を向いていますが、かつては、おおぐま座の方向へ向いていました。
そして、うしかい座はおおぐま座を追いかけるように夜空を回っていることから、アルカスが母親のカリストを追いかけているのだとも言われています。

ところで、北斗七星は北極星を探し出す目印として、洋の東西を問わず、古くから注目されているので、こちらにも様々な神話や伝説が伝えられているので、「北斗七星の神話」の方も参考にしてみてください。

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