こぐま座の神話・伝説 |
ディアナ(アルテミス)とカリスト (ティツィアーノ) こぐま座のモデルは、ギリシア神話に登場する狩人・アルカスだと伝えられています。 この絵では、アルテミスと侍女であるカリストが描かれていますが、カリストはアルカスの母にあたります。 |
クマの姿になったアルカス こぐま座は春の夜空を飾っていますが、こぐま座には北極星があるので、最もよく知られている星座のひとつにもなっています。 ですから、北極星さえ見つければ、こぐま座はすぐに探し出すことができます。 北極星の探し方は北斗七星(ひしゃく星)から見つけるのがとても簡単で、ひしゃくになっている部分の先のふたつの星を選んで、その長さの分だけ、先に5倍伸ばしたところに北極星があります。 この北極星が、こぐま座の尾の先になっていて、北斗七星と同じように、全体はひしゃくの形をしています。 北極星が、ひしゃくの柄の先にもなっていて、北斗七星に向かい合うような形で輝いているのが、こぐま座です。 さて、こぐま座にまつわる神話ですが、ギリシャ神話では、こぐま座はおおぐま座と一緒の物語になって伝えられています。 その神話は、おおぐま座の神話でも紹介していますが、こぐま座になっているのは、狩人・アルカスだとされています。 アルカスは、大神・ゼウスと森のニンフ・カリストの間に生まれた子どもでした。 しかし、母親であるカリストは、ゼウスの妻であるヘラの怒りをかって、その姿を大きなクマに変えられてしまいます。 カリストは大変美しい女性だったので、その姿を恥じ、アルカスを残して森の中に身を隠してしまいます。 残されたアルカスは親切な人の元で育てられ、やがて、立派な青年に成長します。 腕のよい狩人でもあったアルカスは、毎日森の中で獲物を追っていましたが、ある日、一頭の大きなクマに出会います。 しかし、このクマは姿を変えられてしまった母親のカリストだったのです。 カリストは、子どもに再会できた喜びの声あげ、両手でアルカスを抱きしめようと近寄っていきます。 一方、アルカスにしてみれば、一頭のクマにしか見えません。 大きなクマが腕を広げ、叫びながら襲ってくるばかりです。 母親とも気づかないアルカスは、素早く矢をつがえ、オオグマ目掛けて狙いを定めます。 この様子を、ゼウスは天上から見ていました。 アルカスは自分の息子ですから、母親に矢を射掛けることなど、させるわけにはいきません。 そして、あわやアルカスが矢を放とうとするとき、ゼウスは大きな竜巻を起こして、ふたりを天空へと舞い上げてしまいます。 この時、アルカスもクマの姿になって天空に舞い、カリストはおおぐま座に、アルカスはこぐま座になったのだと伝えられています。 ギリシャ神話ではこのように語られていますが、こぐま座もおおぐま座も、クマにすると尻尾が長くなっています。 これは、「ゼウスがふたりを夜空に投げ上げた時、あわてて尻尾をつかんで投げたので、どちらの尻尾も伸びてしまったのだ」などと言われています。 神話の中では、どこを持って投げたのかは分かりませんが、妙を得ておもしろい説明だと思います。 ところで、こぐま座のモデルになっているアルカスは、うしかい座のモデルにもなっていると言われています。 現在の星座絵では、うしかい座はおおぐま座とは反対の方向を向いて描かれていますが、かつてはおおぐま座の方を向いて描かれていました。 これが狩人であるアルカスの姿で、クマの姿になった母・カリストを追いかけているのだとも言われています。 実際、うしかい座はおおぐま座を追いかけるように夜空を回っていて、アルカスが母・カリストを慕っているようにも見えます。 あと、北極星や北斗七星は、こぐま座には深く関係のあるものですが、北極星の神話や北斗七星の神話なども紹介しているので、そちらの方も参考にしてみてください。 このページの先頭へ |