からす座の神話・伝説 |
アポロの馬車・部分 (オディロン・ルドン) からす座のモデルは、ギリシア神話に登場する太陽の神・アポロンの使いのカラスだと言われています。 アポロンは四頭立ての馬車に乗って天を駆けていたとされていますが、この絵には、四島の白馬が描かれています。 |
アポロンの使いのカラス からす座は、四角形の形をしている春の星座で、四個の三等星で形付けられています。 紀元前1000年頃には知られていた古い星座で、地味な星座ですが、意外と目に付く星座です。 からす座を探すには、北斗七星のひしゃくの柄の部分を、そのまま曲がり具合に沿って伸ばしていきます。 すると、明るいふたつの星を通りますが、ひとつがうしかい座のアークトゥルス、もうひとつはおとめ座のスピカです。 この先に、ゆがんだ小さな四角形がありますが、これがからす座です。 すぐに分かる星座だと思いますが、北斗七星からふたつの星を通って、からす座まで続く曲線は、「春の大曲線」と呼ばれています。 さて、からす座の神話は、ギリシャ神話の中で、アポロンの物語と一緒に紹介されています。 太陽の神・アポロンは、テッサリアの都市、ラリッサの王・プレギュアスの娘、コロニスを大変愛していました。 しかし、太陽の神であるアポロンは、毎日、朝には東から駆け上がり、夕方には西へと駆けていかなければなりません。 出来れば、いつもコロニと一緒に居たいのですが、そうするわけにもいきません。 そこで、アポロンは一羽のカラスを使って、1日に1回、互いの元を往復させて、日々の出来事などを伝え合うことを思いつきます。 このカラスは、黄金色の羽をもっていて、そのうえ、人の言葉も自由に喋ることが出来るというカラスです。 カラスは毎日二人の間を往復して、それぞれの出来事や伝言などを伝えていました。 ところが、ある日カラスは道草をしてしまい、気が付くとずいぶん時間が経ってしまっています。 あわてたカラスは、大急ぎでコロニスのもとへ飛んでいきます。 さて、コロニスの家について中を覗くと、一人の青年がコロニスと一緒にいました。 この青年は、コロニスの兄なのですが、カラスは告げることだけを告げて、急いでアポロンのもとへと飛んで帰ります。 何しろ、道草をして遅れているものですから、とにかく大急ぎで帰らなければなりません。 アポロンのところへ帰ったカラスは、青年のことを話しますが、急いでいたので、コロニスからは何も事情を聞いていません。 あることないことをアポロンに告げ、終には、コロニスは不義の女性だとばかりに決めつけてしまいます。 これにはアポロンも驚きました。 すぐにコロニスの元へ駆けていき、怒りのあまり、話も聞かずに矢を放ちます。 アポロンの矢は、哀れにもコロニスを射抜いてしまいますが、コロニスは死の直前、アポロンが誤解していたことを告げます。 そして、お腹にいる子どもを無事に育てること願い、アポロンを恨むことがないことも伝えます。 アポロンは、コロニスと一緒にいた青年が兄であったことを知り、深く後悔して、コロニスの死を悲しみます。 しかし、元はといえば、カラスの告げ口が起こした悲劇です。 アポロンは、今度は怒りをカラスにぶつけ、黄金の美しい羽根を取り上げ、真っ黒な色にしてしまいます。 それだけでは治まらず、人の言葉を話す力もなくしてしまい、カァカァと鳴くだけの鳥に変えてしまいました。 これが、ギリシャ神話に伝わっているからす座の物語ですが、そのようなカラスが、なぜ星座になっているのかは、よく伝わっていません。 また、アポロンはコロニスの家から出てきた人影(コロニス)を別の恋人だと思い込んで、矢を放ったとも言われているほか、コロニスとアポロンとの間にできた子どもは、エスクラピウスと言って、後に医術の神となる人物です。 このエスクラピウスは、へびつかい座のモデルにもなっているので、へびつかい座の神話も参考にしてみてください。 このページの先頭へ |