星座図鑑・いて座の神話・伝説

いて座の神話・伝説












ケイローンによるアキレウスの教育 (ジャン・パティスト ルニョ)

いて座のモデルは、ギリシャ神話に登場する、ケンタウルス族の賢者・キロン(ケイローン)だと言われています。

この絵では、勇者・アキレウスに弓矢の技術を教えているところが描かれています。

ケンタウロスの賢者・キロン(ケイローン)

いて座は、夏に輝く美しい星座です。
天の川の中にありますが、いて座の方向には銀河の中心があるので、いて座は特に美しい星座です。

もっとも古くからある星座のひとつで、いて座は黄道十二星座のひとつにもなっています。
さそり座のすぐ近くに、ひしゃくの形をした、六つの星が並んでいます。
これがいて座で、六つの星は、南斗六星と呼ばれています。

さて、いて座にまつわる神話ですが、いて座はギリシャ神話に登場するケンタウルスの賢者、キロンがモデルだと伝えられています。

ケンタウルスの一族については、ケンタウルス座の神話のところで紹介していますが、ケンタウルス座のモデルになっているのはフォーラスという者で、いて座はケンタウルスのキロン(ケイロン)がモデルだと言われています。

ギリシャ神話によると、キロンは時の神・クロノスを父にもつ人物で、医術の他、音楽や哲学、占星術や武術の技など、あらゆる学術に長けた人物でした。
その学識は群を抜いて素晴らしく、多くの人たちがキロンの教えを受けに訪れました。

数々の王族もキロンを尊び、子どもたちをキロンの元へ預け、様々な学問を学ばせています。
ギリシャ神話の英雄、ヘルクレス(ヘラクレス)もキロンの元で科学などを学んだほか、太陽の神・アポロンの息子であるエスクラピウス(アスクレピオス)もキロンについて医術を学び、のちには医術の神と呼ばれるほどの名医になっています。

また、テッサリアのイオルコスの王・アイソンの息子も、キロンの元で多くのことを学びました。

アイソンの息子はイアソンと言いますが、イオルコスの国は、アイソンの弟・ペリアスが実権を握っていました。
ペリアスは、将来には王となるイアソンを疎ましく思っていて、ある日、亡き者にしようと企てを試みます。
これに気づいた母・ポリュメーデは、イアソンをキロンの元へ送り、かくまうと共に、優れた青年になるよう、学術を学ばせることを頼みます。

イアソンは、キロンの元で文武さまざまなことを学び、ポリュメーデの願いどおり、立派な青年に成長します。
イアソンは二十歳の時にイオルコスに戻りますが、ペリアスの為に王位を継ぐことができません。

ペリアスは「コルキスの国の宝である金色の毛をもつヒツジを持って帰ることができれば、その功績を認め、あなたを王に相応しいものとして認めましょう」と、とても出来そうにない申し入れをします。

この金色の毛をもつヒツジを手に入れる為に、イアソンはアルゴ遠征隊をつくって多くの冒険をすることになりますが、アルゴ遠征隊の冒険談については、アルゴ座(今の、とも座やらしんばん座、ほ座、りゅうこつ座など)に神話として伝わっています。

ところで、キロンはこのような優れた学識を称えられて、いて座となって夜空に輝いているのですが、いて座は半身が人で半身が馬の姿をしています。
これは、キロンがケンタウルスの一族であるためで、手に矢を番えているのは、狩りの名手で、武勇にも優れている姿を表わしていると言われています。

しかし、キロンの最期ははかないもので、ヘルクレスが誤って放った矢に傷つき、亡くなります。
これは、ヘルクレスがケンタウルスの力を借りて、エリュマントスのイノシシ退治を成し遂げたことを祝って祝宴をしている時の出来事です。

ヘルクレスは、フォーラス(フォーロー)というケンタウルスと親しく酒を酌み交わしていたのですが、その内、酔いが回ったほかのケンタウルスがふたりに襲いかかってきます。
しかし、そこは剛勇のヘルクレスです。
武勇をもって、襲ってきたケンタウルスを追い散らします。

敵わぬとみたケンタウルスは散り散りになって逃げ出しますが、そのうちの幾人は洞窟に逃げ込みます。
追い詰めたとみたヘルクレスは、洞窟に向かって自慢の矢を放ちますが、実は、この洞窟はかつての師であったキロンの住居でした。

運悪く、ヘルクレスの放った矢は、キロンの膝を射抜いてしまいます。
矢には、ヒドラ(うみへざ座のモデルになっています)の毒を塗ってあったので、キロンはひどく苦しみます。

しかし、キロンは不死身であったため、苦しみの中、死ぬことさえできません。
とうとう、キロンは大神・ゼウスに願い、その不死の身をといてもらい、死を迎えます。

これを聞き入れたゼウスは、キロンの才能を惜しみ、夜空に上げて星座にしたということが伝わっていますが、キロンは不死の身を巨神族のプロメテウスに譲ったとも言われています。

いて座には、このような神話が伝わっていますが、キロンについて科学などを学んだヘルクレスはヘルクレス座に、医術を学んだエスクラピウスはへびつかい座、フォーラスはケンタウルス座になっているので、ヘルクレス座の神話へびつかい座の神話ケンタウルス座の神話などについても参考にしてみてください。


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